県名と異なる名の県庁所在地は、得てして県そのものよりも知名度が高くなりがち。
私の数少ない知人の中に、神戸出身と言う人はいても兵庫だと胸を張る人はおらず。
姫路や明石が存在感を示す瀬戸内側はまだしも、兵庫県の北中部は無名感が否めず。
新型コロナ騒ぎが少し静まった2022年GW、現地現物主義に則り探索に向かいます。
京都駅からいろんな特急乗り継いで、日本海側と中部の山中を巡って神戸に抜ける。
2泊3日プチ旅の記録をどうぞ。
ノスタルジー、アネモイア、古民家、武家屋敷、城跡、但馬牛、三都物語、明治時代、江戸時代
アネモイア
2日目の昼過ぎに城崎温泉駅を発ち、2時間で丹波篠山市の玄関口である篠山口駅に到着。
タクシーでホテルに直行します。
明治時代に建てられた銀行頭取の邸宅兼仕事場を改装した、いわゆる古民家ホテル。
うわっこりゃ堪らん。風情ありまくり。

古今東西、人は昔の文化に憧れるのもの。
Z世代が昭和、弥生人が縄文を愛すように、昭和生まれの私は明治・大正に無条件に心をくすぐられます。
ただし都会生まれの都会育ちですから、冷暖房や水洗トイレは必須。
吉田兼好さんの考え方には全く同意できません。(鎌倉時代の話ですが)
お部屋へ。

うわっこりゃ堪らん。風情ありまくり。
暮らした経験がないタイプの部屋にノスタルジー(郷愁)を感じるのはなぜ?
ノスタルジーではなく「アネモイア」と言います。
古代ギリシャ語ἀνεμος (anemos, 風) とνόος (noos, 心・思考・精神) を組み合わせた造語。
自分が経験していない過去の時代や場所に対して、懐かしさや強い憧れを抱く感情のことだって。
擬似郷愁とかヴァーチャル郷愁ってな感じ?
もちろんお宿は冷暖房と水洗トイレ完備で一安心。
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異文化交流
夕食前に近所をお散歩。
歴史美術館や青山歴史村で江戸や明治の風情を味わった後は、疲れた体を癒しに喫茶店へ。
日本の古民家にアメリカJBL製の巨大スピーカーがしっくりなじむアラ不思議。
アネモイアは日米の距離と時代をも超越するほどの強いパワーを持つようです。

お部屋に戻ってお待ちかねの夕食は、木の小屋組みが擬似郷愁を誘う別棟で頂きます。
囲炉裏端で猪鍋や鮎の塩焼きでも食するのかと思いきや、提供されしは手の込んだおフランス料理。
地元で採れた旬の野菜や地元で獲れたジビエ、地元のブランド但馬牛をワインとともに堪能します。
アネモイアは日仏の文化を違和感なく融合するほどの強いパワーを持つようです。

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江戸時代考
我々ポンコツ夫婦には珍しく、最終日の朝は快晴。
ホテル至近の御徒士町武家屋敷群を巡ります。
御徒(下級武士)の居住地区で、家屋は茅葺の母屋、瓦葺の土蔵、築地塀などが特徴。
さすがに江戸時代初期の屋敷まで遡ると、昭和生まれおじさんのアモネイアは発動せず。
下級といえども♬あなたは武士 きらきら武士♬
随分と広大で豪勢なお住まいだこと。
武士が桁外れの特権階級だったことが偲ばれます。
一部の家屋は今も現役で活躍する住居とのことでが、もちろん冷暖房と水洗トイレ完備ですよね?

続いて400年以上も前の1609年築城の篠山城跡へ。
江戸幕府にとって重要な拠点であり、松平家と青山家という徳川家の最側近が城主を務めました。
現代の感覚からすると辺鄙な山奥(失礼!)に過ぎないこの地、当時は大坂(豊臣家)と京都(朝廷)を睨む交通の要衝。
確かに反徳川勢が西国の外様大名に謀反の相談に行くなら、丹波篠山は便利な中継点になりそう。
Google Mapsもない時代によくもそんな俯瞰で土地を選定できたものだと感心することしきり。
明治時代になると建物群は取り壊され放置されて不遇を囲いますが、21世紀に入って復元や整備が進み始めたようです。

さて、都市部に帰ります。
篠山口駅からいろんな電車を乗り継いで2時間弱、新神戸駅に到着します。
武家屋敷や篠山城の建設にも腕を振るったかもしれない大工さんの道具を展示する竹中大工道具館へ。
2014年完成のむちゃくちゃ最新建築なのに、そこはかとなく江戸時代の雰囲気が漂います。
ここ、むちゃくちゃ楽しい。
建築好きの方は別記事「竹中大工道具館|三位一体で作り上げた匠の技の聖地~建築徘徊77」もぜひ。


その後数日で、大阪の実家を拠点に大阪中之島散策に京都保津川下りに、と神戸を含む三都物語を達成。

さて、兵庫県北中部は豊かな自然と地の食材に恵まれスローライフにもってこいとの印象を得ました。
その気になれば、要所を結ぶ鉄道網のおかげで神戸・大阪・京都の都市部に繰り出すことも可能です。
気になることといえば、きっと深い雪に閉ざされるであろう冬場の厳しさでしょうか。
機会があれば、カニが旬を迎える頃に日本海沿岸部を再訪して確かめたいところです。
兵庫県は神戸だけちゃうで【完】
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