砂浜デビュー
お散歩デビューから2週間。
海の近くに暮らすからには、いずれマリンスポーツを嗜みたいもの。
本日は来たる日に備えて海の視察に赴くことに。
まっすぐ歩けば15分ほどの距離なのだが、寄り道が過ぎるなのを憂慮した父上にクルマで連行される。
はい到着。

クルマの荷台から初めての海を眺め、サーフィンに興じる自身の姿に想いを馳せる。
というのは真っ赤な嘘で、実はあまりに雄大な景色と波の音に恐れをなしている。
論より証拠の垂れ下がったシッポをご覧あれ。
制御不能な有線式サイコミュの如く隙あらば脱走を試みるも、そうはリードが外れない。

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半ばあきらめの境地に達し、慎重を期して少しずつ少しずつ水辺に近寄ることに。
その刹那、しびれを切らした父上に波打ち際まで抱っこで連行される。

海の迫力に圧倒されて母上に助けを求めるも、無慈悲な笑い声を上げながら写真撮影に興じるのみ。
これは所謂ハラスメントではないのか。
もしやなのは親ガチャに外れたのでは。
などとふと懐疑的になる春の日の午後。
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公園デビュー
人間社会には「公園デビュー」という儀式が存在するらしい。
邪気なき幼児どうしの関係は何ら問題なくとも、大人どうしはそう簡単な話では済まないようだ。
先輩ママたちのコミュニティに上手く溶け込めるかといった不安に苛まれ、中には深刻なストレスを抱えてしまう母親もいるとのこと。
心中お察し申し上げる。
その点、なのの父上は心配なさそうである。
以前は自他ともに認めるヤサグレ会社員、現在は何も失うものがない無職プータロー。
散歩の道すがら出会う犬たちの飼い主と挨拶を交わし、犬話に興じる姿はなんだか楽しそう。
そんな我々に公園デビューの日がやってくる。
これまで公園を避けていた訳ではなく、単に場所を知らなかっただけのことであるが。
適度な田舎街のこの辺りは適度に空き地や草むらがあり、公園に出向かずとも用は足せる足りるのだ。
さて、散歩の道すがら偶然見つけた公園は期待に反して誰もいない。
失意のなのは砂地に当たり散らしてストレス発散。

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階段デビュー
なのの住宅事情をお話ししよう。
生活の場は2階のリビング。
お散歩に行くには階段を1階に下りる必要がある。
この階段は父上が自らの将来を慮って傾斜を緩くした特注仕様なのだが、それでも体の小さいなのは怖くて下りることができない。
輪をかけて恐ろしいのが2階から屋上に出る階段。
所謂スケルトン階段という代物で、蹴込み板がなくて下がスケスケ見えている。
どうにか上れるようにはなったものの、もちろん下りることなどできやしない。
外の空気を吸いたくて、ついつい上っては最上段で詰んでしまう。


いちいち助けを呼ばれる父上が業を煮やして下段に柵を設置した。

しかし、僅か数段の高さといえど脅威であることに変わりはない。
上っては連れ戻される『シーシュポスの神話』を繰り返していると、父上は業を煮やして放置プレーを決め込むように。
そしていよいよ時は満ちる。
清水の舞台から飛び降りる覚悟で階段を制覇。
たったの2段ですがね。

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