タケフナイフビレッジ共同工房|毛綱毅曠ドラム館~建築徘徊104

建築徘徊
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死ぬまでに全都道府県を自らの意志で訪れる野望を果たすための旅をしています。

2026年GW福井県をレンタカーで北上して越前市にやって来ました。

あいにく越前ガニを食すためではありません。

ネット検索して見つけた「変な建築」を見に。

設計は毛綱毅曠さん。まぁ普通は読めません。

もづなきこうと読みます。野武士の1人です。

還暦を前に早逝した鬼才の建築を味わいます。

KEYWORDS

ポストモダン建築、五右衛門風呂、ドラム缶、安普請、越前打刃物、ベネトン、職人、広告塔

訪問記

のどかな田舎の農村地帯をレンタカーで走っていると、蓋をした巨大な五右衛門風呂の如き物体が忽然と姿を現します。

TAKEFU KNIFE VILLAGE(武生ナイフ村)

どうやら気鋭の職人が越前打刃物の製造、販売を行う施設のようです。

駐車場にクルマを停めて徒歩で建物正面へ。

ドーン!新興宗教の神殿みたいで怖いよう・・・

侵入者を拒絶するような威圧感を覚えますが、建築好きの好奇心はそんなことではへこたれぬ。

意を決して異様に大きい正面階段を正面突破!

あれれ、入れない。

それどころか鉄門扉?が錆び錆びのボロボロで廃墟の様相を呈しています。

バブルに踊らされたポストモダン建築の遺構か・・・

あきらめて立ち去る前に、蓋をした巨大なドラム缶の如き物体の周りをグルっと一周しておこう。

あれれ、入口発見。

その右手には典型的な町工場っぽい施設がくっついていて一周できません。

意を決して異様に地味な側面入口を側面突破!

入ってビックリ!
そこはベネトンカラーに彩られた刃物の展示館。

五右衛門風呂、もとい、ドラム缶、違った、展示館の構造は鉄骨フレームに折板を張っただけでシンプル極まりない。

壁も屋根も仕上げどころか断熱材さえなく鉄が丸出し、夏暑く冬寒い吉田兼好仕様。

さすが鉄愛職人が集う施設だけのことはあります。

ただし空調がよく効いているのか、居心地は快適。

機能性に留まらずデザインにも優れた刃物たちを眺めているうちに、ムラムラと何かを刺したくなってきました。

気を落ち着かせるため、出口らしき場所に向かって緩やかなスロープを上ります。

あれれ、外に出れない。

さっき入口の右手に見えていた町工場っぽい施設に繋がっていました。

ここは14社の刃物会社がそれぞれ自社製品の製造を行う共同工房です。

職人さんが作業に打ち込む姿を上から目線で見学することができます。

空調の効いた展示館から一転、鉄を鋳たり叩いたりの熱気でムンムン。

暑さ熱さに音を上げて踵返してみたならば、スロープ続くよさらに上。

ベネトンカラーに彩られた展示館に舞い戻り、上へ上へと向かいます。

頂上に鎮座しますはなんと神棚。

越前打刃物の祖、刀匠の千代鶴国安(ちよづるくにやす)を祀っているそうです。

由緒正しき神道でしたか。

「新興宗教の神殿みたいで怖いよう・・・」との冒頭暴言をお詫び訂正いたします。


さて、見た目重視のポストモダンでいかにも安普請な本建物をどう評価すべきか・・・

建設費3億円を若手職人10人が3,000万円ずつ借金して捻出したと聞けば、凡百のバブリー建築との志の違いは歴然。

インパクト大な奇抜デザインの建築は、多くの人に越前打刃物を知ってもらうための広告塔の役割を担うのでしょう。

現に建築見たさにやって来た私もすっかり越前打刃物に魅了され、包丁とナイフをお土産に買い込んだのであります。

よって数少ない?ポストモダン建築の成功例と言ってもよいかと思います。知らんけど。

名付けて「刃物のドラム館」

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基本情報

タケフナイフビレッジ共同工房
設計:毛綱毅曠
竣工:1993年
場所:福井県越前市
訪問:2026年5月


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