映画『未知との遭遇』をご存じか。
UFOを目撃した人びとと地球外生命体との接触を描いたSFドラマにして、スティーブン・スピルバーグ監督初期の代表作。
ところで、生後5ヶ月の柴犬がなぜ半世紀も前の映画を知っているのかって?
さぁ。きっと前世で見たんでしょ。
虫との遭遇・前編
毎朝夕に近所を散歩するようになって早2ヶ月。
季節は春から初夏へと移ろいつつある。
そんなある日。
両親が所用を終えて帰宅したのは夜7時過ぎ。
普段より数時間遅い散歩に出たところ、外は既に暗闇と化している。
父上が照らすライトを頼りに夜の公園で遊ぶさなか、奇妙な未知の生物に遭遇。
人間や犬、野良猫などと桁違いの小さな体躯で地面に這いつくばり6本もある足をカサコソ搔いている。
これが噂に聞く昆虫というやつか。
詳しくは分からぬが恐らくカナブンなる種族。
なのは近隣に住む新参犬ゆえ、こちらから初対面の挨拶に伺うこととする。

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しかしながら、なのの友好的な握手とキッスは迷惑そうな態度で完全無視される。
失望した。礼儀がなってない。
まあよい。今日はもう夜遅い。
いずれまた会うこともあろう。
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トカゲの尻尾切り
人間社会には「トカゲの尻尾切り」なる儀式が存在するらしい。
都合の悪いことがバレる前に自分より地位の低い者に責任や罪を擦り付けて逃げることだそうだ。
『強きを助け弱きを挫く』輩が立身出世する世知辛い現代社会を象徴する格言。
被害者の方の心中お察し申し上げる。
そんなある朝。
いつもの散歩道をクン活しながら歩くさなか、奇妙な未知の生物に遭遇。
父上の「あっトカゲや!」の一言で全てを悟る。
百聞は一見に如かず。
なのは全能の神か大手マスコミの記者にでもなった気分でトカゲを断罪して尻尾を切断。


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しかし、話が違う。
どうやら「人間はトカゲではない」ようだ。
見捨てられた尻尾は悲嘆に暮れるどころか生き生きと躍動しているではないか。
冷酷かつ非情な上司と袂を分かつことができて、きっと清々しているのだろう。
新たな尾生に幸あれ!
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虫との遭遇・後編
なのが暮らす地域はコオロギ太郎さんという偉い人の地元だそうだ。
コオロギ試食が大手マスコミに面白おかしく取り上げられ、「昆虫食推進派の旗手」とされるらしい。
知らんけど。
地域住犬としてなのも一肌脱ぎ、昆虫食の魅力をお伝えしようではないか。
時節柄コオロギに出会うことは難しいらしく、先日なのに無礼な態度を取ったカナブンを捜索。
初対面した公園に出向いてみると、果たして地面に這いつくばり6本もある足をカサコソ搔いている。
いただきます。

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人間社会には「踊り食い」なる儀式が存在するらしい。
魚などを生きたままの状態で食べることだそうだ。
いかにも悪名高き凶悪犯の蚊を上回って最も多く人類を殺害する生物がやりそうなこと。
被害者の方の心中お察し申し上げる。
とはいえ、なのは遺憾ながらカナブンの調理方法を知らぬので止むを得ず生食踊り食い。
外はサクサク中はしっとり。
踊り食いも捨てたもんじゃないな。
【注】この後スタッフがおいしくいただきましたということはない。
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