長らく首都圏に住みながら、これまで訪問の機会がなかった西伊豆。
相模湾を望む終の棲家に住み着いた今となっては容易にアクセス可能。
温泉に浸かりながら人生の大転機となった怒涛の2025年を振り返ろうじゃぁないかの旅に出ます。
ついでに建築徘徊もすんべぇと白羽の矢を立てたのが伊豆の長八美術館。
半島の南西端にあってかなりの遠方ですが、意を決して足を延ばします。
左官職人、漆喰、鏝絵、入江長八、ポストモダン建築、バブル経済、過剰デザイン
訪問記
宿泊先の戸田から海岸沿いのウネウネ道を南下すること1時間、のどかな雰囲気が素敵な松崎町に到着。
目指す建物はすぐに見つかります。
白亜の殿堂か、はたまたホワイトハウスか。
地域の建物を特徴付ける真白な漆喰仕上げのなまこ壁が目に眩しい。
その白さは刺さっているはずの白羽の矢がどこにあるのか分からないほど。


「左官の神様」入江長八さんの鏝絵を展示する美術館ですから、左官仕上げの外観は至って真っ当。
しかし、至って意味不明なトゲトゲ恐竜の如き建物側面を抜けて奥に進むと印象はガラリ変わります。


裏手の別館?はまるで新興宗教の施設。(前回徘徊建物のインパクトがまだ記憶に新しいので・・・)
現代建築御用達コンクリート・ガラス仕上げですが、異形の外観と意味深なオブジェ群に戸惑います。
謎の石塔はガウディっぽいなぁと思ったら「違いを楽しむ人」外尾悦郎さんの作品でした。道理で。
他にも工事中のトンネル?や豪華仮設トイレ?などの謎の造型群に早くもお腹一杯。


ここで引き返す訳にも行かず入館を試みるも、入口へのアプローチで怖気づきます。


帽子を被ったベイマックスが「こっちへおいで」と腕を広げているようにしか見えません。怖いよう。
ええい、ままよ。突入!






目くるめく過剰デザインの嵐、洪水。
無駄を排除したスッキリ洗練デザインが特徴のモダニズム建築に慣れ切った私には刺激が強すぎます。
胃もたれしそう。誰ですか設計者は。
石山修武さん。
「建築界の良心」槇文彦先生をして「平和な時代の野武士たち」と言わしめた世代のお一人。
時代ですなぁ。
大学闘争華やかなりし1960年代末に青年期を過ごした世代特有の反骨精神でしょうか。
極論すれば世界中どこでも同じデザインに帰結するモダニズムに反旗を翻し、地域や歴史・伝統に根差した個性豊かな建築を志向します。
いわゆるポストモダン建築。
その思想には共感できるのですが、バブル経済をパトロンに迎える愚挙に出てしまいました。
金食い虫たる過剰なデザイン欲望をバブル特有のイケイケドンドンな全能感が歯止めなく後押し。
この結果、露悪趣味なだけの空疎なゴテゴテ建築が世の中に溢れ返ることになります。
日本全国から腕の立つ左官職人が大集合して建設に携わった本建物は、そんな凡百のバブル建築群とは志が決定的に違うと信じたい。
しかし、完成から40年以上も経った現在に生きる私には両者を見分ける術がありません。
そんなことを考えつつ街を散策していると、コテコテ黙々と鏝を振るう左官職人に遭遇。



そこの左官屋さん!
魂込めた建築とばかけんちくを見分ける方法を教えて

分かる人だけ分かればいい
男は黙ってサッポ〇ビール
いや、そういうのもう時代遅れなんで・・・
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基本情報
伊豆の長八美術館
設計:石山修武
竣工:1984年
場所:静岡県松崎町
訪問:2025年12月
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