地震、雷、火事、親父。
災害大国日本では建築にも細心の配慮と最新の技術が望まれます。
ただし、技術は前面に出しゃばり過ぎると鼻持ちならぬ印象となりかねないのでご用心。
本日はゾウさんもピノキオも驚きの長~いお鼻をお持ちの日本人離れした建物を訪問。
甘噛みならぬ辛口ご容赦を。
組織設計事務所、自意識過剰、技術力過信、本末転倒、写実絵画、建築主要望、日建設計
訪問記
千葉市ってば異様に広い。
当時住んでいた美浜区から緑区まで、同じ市内をクルマ移動するだけなのにやたらと時間かかり過ぎ。
“チバリーヒルズ“と揶揄される高級住宅街の一角に、出来立てホヤホヤ話題の建築が見えてきました。


幾何学に基づくシンプル形態(要は直線と円弧)のコンクリート打放し仕上げ。
予備知識がなければANDO建築との誤解やむなし。
直方体の筒が積み重なる様は幼児のお遊びの如し。


真の驚きはその先に待ち構えます。
鋼板を折り曲げて作った直方体の筒が宙高く突き出して浮いている様は異様としか言いようがない。

♬ゾウさん ゾウさん お鼻が長いのね そうよ チ〇〇ンも 長いのよ♬
嘘つきピノキオもビックリのロングノーズ。
ただでさえ長い鼻ですが、なんで宙に浮いてるの? もしや中二病?
それはね、ほらご覧なさい。
“チバリーヒルズ”の豪邸がよく見えるでしょ。
ハイソ(死語)なレジデントの皆様が公園からご自宅を愛でる喜びを努々奪ってはなりませぬ。
これぞ景観に対する細心の配慮ってなもんです。
一方、庶民の私は怖いもの見たさで筒の下へ。


建設現場で吊り荷の下に入ることはご法度ですが、コチラの鼻は決して折れぬ自信がおありのようで。
「鼻の下、立ち入るべからず」的な注意書きはありません。(鼻水が垂れて濡れても自己責任)
さて、筒の中はどうなっとるんや。
おっと残念! 館内撮影禁止 orz
以下、腹いせに管を巻きます。
よい子と心臓の弱い方はどうかお引取りを。

性悪偏屈の私、長~い鼻を自慢げに誇示する鼻持ちならないコヤツの態度に反感を抱きます。

その高慢チキの鼻、へし折ってくれるわ!
筒の先端でピョンピョン飛び跳ねるもビクともせず。
悔しいのぅ悔しいのぅ orz
それもそのはず、設計は世界最大級の組織設計事務所・日建設計。
よほどの建築好きでなければご存じないかも。
なんせ自ら『誰も知らない日建設計』なんて書籍を企画するくらいですから。
しかし、世界最大級の設計者集団を自負する通り、実は「石を投げれば日建の建物に当たる」かもしれぬほどの量産体制を確立した建築界の巨人。
一見自虐的な書籍名から強烈な自意識とスノッブ感がプンプンと臭い立ちます。
「ボクたち世界最大級だもんね~。知らない人は勉強不足だもんね~」ってか。

そんな「知る人ぞ知る」存在から脱却すべく?本建物では過剰なまでに自己主張。
「ボクたちこんなスゴいことだって軽々できちゃうんだもんね~」と言わんばかりに高度な構造設計技術を見せつけます。
しかし、建物は設計者ではなくて建築主の持ち物。
勝手なワガママが許される設計者はANDOさんくらいってなもんです。知らんけど。
建築主が許可したのでしょうか?
どうやらしたっぽい。
ココは世界でも稀な写実絵画専門の美術館。
写真と判別不能なほど精密に描かれた絵画には圧巻の超絶技巧が込められています。
なるほど建築主は高度な技術が大好きなのね。
前言撤回。
日建設計は建築主の無理難題にも細心の配慮で応えてくれる優れた設計事務所です。
晴れて「誰もが知る日建設計」となった暁にはどうぞ鼻高々ご自慢ください。
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誰も知らない日建設計 世界最大級の設計者集団の素顔 宮沢洋 著(Amazonで購入)
基本情報
ホキ美術館
設計:日建設計
竣工:2010年
場所:千葉県千葉市
訪問:2010年12月
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