関東に住む関西人の私が帰郷するときに立ちはだかるのが静岡県。
東西に異様に長く、新幹線ならともかくクルマだと「いい加減に許してくれ~」となります。
静岡は何度も通り抜けただけの私、この度ほとんど何も知っちゃいないことが発覚しました。
清水市だと思ってた街は静岡市清水区だった。
地元の方に訊くと2003年に合併。(吸収?)
20年も前ですか。たった今まで知りませんでした。
そんな清水の駅前に建つ公共施設を訪ねます。
マリナート、モダニズム建築、デコンストラクション、ペデストリアンデッキ、オマージュ
訪問記
建築徘徊の連載第80回にして、いよいよレジェンド建築家槇文彦さんのご登場です。
2024年6月に御年95歳で亡くなられました。
端正で気品溢れる理知的なお姿。華麗なる家系と経歴。キラ星の如き名作の数々。
映画やTVドラマに出てくる理想の建築家像を体現するかのような「建築界の良心」。
膨大な作品群の中から静岡市清水文化会館(マリナート)を訪問します。
隣接する駐車場にクルマを停めてさっそく建物へ。

南面は潔いスッピン仕上げ
うぉっ、コンクリート打放しの巨大な壁!
ANDOかと思った。
こちら陽のよく当たる南面なんすけど、完全にバックヤードに徹しています。潔い。
東海道本線を横目に睨みながら正面に向かいます。

西面は電車からの視線を意識
西面には槇建築の特徴がよく現れています。
一言で表すと「クリーン」。
モダニズム建築のお手本たるべくコンクリート・鉄・ガラスの3大スターが見事に共演。
建物北側に大きな広場がありますが、JR清水駅からはペデストリアンデッキを歩いて地上に降りることなくアクセスできます。


天気がよければもれなく富士山の絶景付き。
さて建物正面。

北面は透け透けスケルトン
北面につき写真が暗くて恐縮ですが、全面ガラス張りの奥に青い箱と赤い箱が透けて見えます。
原色とまでは行きませんが、槇建築でこんなにハッキリした色は見たことがないような。意外です。
ついでに港がすぐ目の前の東面を観察。

東面はなんちゃってデコン
デコンとまでは行きませんが、槇建築でこんなに斜めに走る窓は見たことがないような。意外です。
特にイビツな台形の展望スペースは私が槇さんに抱くイメージを逸脱します。
ペデストリアンデッキから2階内部へ。
2つの箱状ホールは本日どちらもイベントがあり、チケットのない私は入れません。
係の人に頼んでホワイエで少しだけ写真撮影。




槇建築といえば縦横まっすぐ直線基調のラインが几帳面に入っているイメージなのですが・・・
ホールの用途から決まった形状なのかもしれませんが、なんだかデコボコしてます。
ビビッドな色合いの壁と相俟って内観も意外。
本建物の完成は2012年。槇さん御年83歳!
50代半ばでプータローを決め込んだ私には想像は絶することですが、80歳を超えてなお新たな作風を志向する心意気!
冷静沈着な紳士のイメージに反して煮えたぎる熱い情熱を秘めておられたのでしょうか。
圧倒的な感銘を受けました。
さて、理知的な槇さんとは対極に位置する私には本建物が昭和のヒーローに見えて仕方がありません。
ね? まるで本建物の説明のようでしょ?
しかし、高貴な槇さんがキカイダーをご存じであまつさえオマージュしちゃうとは思えません。
きっと私の思い過ごし。
最後に私が抱く槇建築のイメージをどうぞ。


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基本情報
静岡市清水文化会館
設計:槇文彦
竣工:2012年
場所:静岡県静岡市
訪問:2025年11月
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