日立駅|故郷に錦を飾る妹島和世の消える負ける駅舎~建築徘徊74

建築徘徊
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生まれ故郷。ふるさと。Hometown。

なんとも心地よい響きです。

関西を気取る私ですが、生まれてから東(あずま)下りまでの18年間に大阪京都の郊外を4か所も転々。

ゆえにどの地も生まれ故郷と誇る決定打に欠ける。

生まれ育った土地に愛着のある人が羨ましいです。

日立製作所のお膝元、茨城県日立市を訪問。

本日はこの地で育まれた郷土愛のお話です。

KEYWORDS

駅舎建築、消える建築、負ける建築、レトロ建築、故郷に錦を飾る、郷土愛、地元の英雄

訪問記

2019年9月のとある日曜日。

絶好の晴天に恵まれて、当時の住処千葉市から日立市まで約2時間のドライブに出掛けることに。

世界的な建築家妹島和世さんの生まれ故郷です。

日立市公式HPにも掲載される地元の英雄。

その妹島さんが街の顔たる日立を設計したと聞いては見に行かずにいられようか、いやいられまい。

透け透けですなぁ。

駅舎は快晴の空と青々した海に溶け込むかのよう。

先っちょで宙に浮くガラスの箱はどうやらカフェらしく、あそこを目指して歩くことにします。

長いなが~い駅舎は南北を走る線路を跨いで西の街側と東の海側を結びます。

東の端は透け透けガラス張りの展望コーナー。

絶景かな絶景かな

雄大な空と太平洋が一望のもとに見渡せてなんとも清々しい心地よい空間です。

先ほど外から眺めたカフェは展望コーナーの南側。

のんびりコーヒーなんぞ頂きながら、これまた透け透け全面ガラス窓を通して外の景色を愛でます。

絶景かな絶景かな

コンクリートで組んだフレームをガラスで覆い、なるべく建物の存在感を消してしまう。

美しい自然に溢れる好立地ゆえの建築の在り方。

地球環境保全や自然との共生が重視される現代ならではの「消える建築負ける建築」です。

一方、近年はZ世代のヤング(死語)を中心に空前の昭和レトロブームが進行中。

TVドラマ「名建築で昼食を」が話題になった通り、大正から昭和初期の建築も人気を博しています。

凝りに凝ったファサードのレトロ建築を愛でる若者にノッペリ・スベスベ現代建築はどう映るのかな。

レトロなビル モダンビル どっちが好き?と昭和おじさんの私は愚考する次第でありんす。

西の街側へ。ニシエヒガシエ

失礼ながら日本中どこでも見られる平凡な景色。

西側は敢えて視界を遮る壁でメリハリ付けるのも一興とデザイン素人の私は愚考する次第でありんす。

キカイダーかよ。ハカイダーかよ。


さて、日立の設計は始めから妹島さんに任された訳ではありません。

市が指名した5社(者)によるコンペを勝ち抜いた末のこと。(正確には設計ではなくてデザイン監修

故郷に錦を飾るべく鬼気迫る思いで挑んだのかなっとコンペ素人の私は愚考する次第でありんす。

そんな相思相愛の物語が市の公式HPに載ってます。

2010年に“建築界のノーベル賞”と言われるプリツカー賞を受賞し、今や世界の巨匠となった妹島さん。

そんな英雄が生まれ故郷に凱旋してデザインした、街の顔たる駅舎が地元の人たちに誇りをもたらす。

なんて素敵な物語なんでしょう。

斜に構えつつボケをカマす態度で世情のブッタ切りを身上とする私ですが、今回は素直に純粋に感動。

いやぁ、生まれ故郷って本当にいいもんですねぇ。
水野晴郎風)

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基本情報

日立駅
設計:妹島和世JR東日本建築設計
竣工:2011年
場所:茨城県日立市
訪問:2019年9月


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