2025年の夏は建築家・内藤廣さんが熱い!
渋谷ストリームで展覧会、紀尾井清堂でご自身の手帳公開企画が開催中。
【注】会期は各々7.25~8.27、7.01~9.30
てな訳で、この熱いストリーム(流れ)に乗って、はるばる宮崎県は日向市にやって来ました。
目的はもちろん内藤建築。
日向市庁舎を訪問します。
庁舎建築、市民憩いの場、みやざきスギ、地産地消、腐る建築、正倉院、香川県庁舎、体育館、図書館、老人ホーム
訪問記
死ぬまでに全国47都道府県を全て制覇するため、これまで未訪問だった宮崎県を旅しています。
レンタカーで向かうは雄大な日向灘に面するその名もズバリ日向市。
人口5.6万人ほどの小ぶりな街に素敵な市役所があると聞きつけてやって来ました。
駐車場にクルマを停めて見渡す庁舎はかな~り横長でカメラに収まりきりません。
しかし、低層4階建てで仕上げに木材が大々的に使われていて優しい表情。
木っ端役人の居城にありがちな市民を見下す威圧感や事務的は冷徹さは感じられません。
グルッと周囲を見て回ります。
明確な正面はなくて四周どこからでもアクセスできる優しい作り。
外観から受ける印象を素直に記すと、市役所というより老人ホームみたい。褒めてます。
免震構造の地面から浮いた作りと外壁を覆う木材は市役所というより正倉院みたい。褒めてます。
プレキャスト(工場製造)のコンクリートスラブ下に並ぶ狭小ピッチの小梁は神社・仏閣の垂木みたい。
もしや庁舎建築ということで、帝王・丹下健三さんの香川県庁舎を意識したのでしょうか。考えすぎ?
建物西側は現代建築の覇者コンクリート・鉄・ガラス3兄弟よりも、大先輩の木材が幅を利かせています。
おそらく地元の誇りみやざきスギですね。
「腐る建築」と揶揄されないよう、巧みなディテール処理で雨掛かりは最小限。
「クマとは違うのだよ、クマとは!」という内藤先生の心の叫びが聞こえます。たぶん幻聴です。
市民を装い中へ。誰でも自由に入れますが。
いやはや驚き。
鉄筋コンクリートの柱・梁でできた典型的なラーメン構造ですが、仕上げはことごとく杉材が占拠。
床はツルツル・テカテカ・ピカピカ。体育館か!
偏見100%を承知の上で敢えて記すと、庁舎ってのは木っ端役人がイバり散らかす不愉快な、用事がなければ近寄りたくない場所。
しかしココはそんな偏見が吹き飛ぶ柔らかな印象。
市民らしきおじいさんが杉のベンチに寝転がって惰眠を貪ってうたた寝しています。気持ちよさそう。
さて、いかにも内藤建築な手すりを擁する階段を上がって上階から屋外に出ます。
まず目に飛び込むのは赤く塗られた吹き抜けボイド側面の壁。
内藤建築で生々しい原色が使われるのは珍しいのではないかな?
あまりの暑さに人は皆無でしたが、市民に開放された屋外テラスがこれまた私の庁舎建築に対する偏見を打ち砕きます。
気候がよければここで読書したり勉強したり一日中のんびり過ごしたくなる環境は、市役所というより図書館みたい。褒めてます。
南国の強烈な日差しや風雨に曝される屋外空間にも拘らず、ルーバーも壁も杉材でできています。
経年変化で黒ずみつつあるようですが、大丈夫でしょうか。腐らないでしょうか。
取り換え前提のディテールっぽい。知らんけど。
「クマとは違うのだよ、クマとは!」という内藤先生の心の叫びが聞こえます。たぶん幻聴です。
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基本情報
日向市庁舎
設計:内藤廣
竣工:2018年
場所:宮崎県日向市
訪問:2025年8月
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