死ぬまでに全国47都道府県を全て訪問する野望を果たすため、残る未訪問地の1つ宮崎県へ。
日本近代建築界の頂点に君臨する帝王にして人間国宝級偉人、丹下健三さんの設計。
“建築界のノーベル賞”といわれるプリツカー賞を1987年に日本人で初受賞しました。
没後20年に当たる2025年、建築界は再び帝王の偉業回顧で盛り上がっている模様。
その時流に乗って?九州唯一の丹下作品を直撃!
丹下健三没後20年、モダニズム建築、ル・コルビュジエ、コンクリート、メンテナンス、遺跡建築、廃墟建築、保存運動
訪問記
レンタカーを日南市役所の駐車場に停め、隣接する緑地公園から建物遠景を眺めます。
き、汚ねぇ~!
ポリコレ全盛の昨今ルッキズムはご法度とはいえ、まるで遺跡か廃墟のような佇まいに唖然。
外壁の白い塗装が無残に剥げ落ちた姿は女形の老歌舞伎役者が白粉(おしろい)を落とす過程の如し。
現れるのが映画『国宝』の主役・吉沢亮さんのような超美形ならともかく、下地は打ち放しコンクリートの黒々ザラザラした荒れ荒れ肌。
追い打ちをかけるかのように、最も目立つ位置に色気の欠片もない設備機器類が鎮座します。
あっゴメン、こっちは建物の裏手なのね。
緑一色の芝生が美しい公園に面しているので、てっきり正面だと勘違いしたアタシが悪うござんした。
ついでにグルッと一周して外観を拝見。側面へ。
先ほどはギザギザ岩山が連なるようなルックスでしたが、側面は一転して台形。
(上底+下底)×高さ÷2。
思わず表面積を計算したくなるシンプル形。
一方、壁面から突き出す巨大な板の役割は分かりにくいったらありゃしない。
正方形窓の上と縦長窓の側面は南国の強烈な日差しを遮る庇でしょうかね。
窓の下の台は植木鉢でも飾るんかね?
さて、建物正面に回りますか。
あれれ? 出入口が見当たらぬ。
汚ねぇ階段を上がった先かと思ったら、汚ねぇ壁と鍵のかかった搬出入口に阻まれました。
交差点に近い位置に大開口とスロープを発見しますが、私の身体能力では上がれそうにありません。
ていうかココを出入りできるのはジャンプ力自慢の健脚アスリートに限られそう。
てぇことは出入口は最後の一面にあるに違いない。
表面積を計算したくなる気持ちを抑えてまずはファサードを眺めます。
あれれホントにココが建物正面?
裏口にしか見えませんが・・・
本日は休館 orz ですが、開館日だとしてもココから入ってよいのか迷ってしまう場末感が漂います。
「隈研吾の建築は見た目が9割?」なんて意地悪な私、やはり見た目は大事であると痛感します。
ココはあまりにヒドい。
1962年完成で還暦を過ぎてますが、100歳を迎えてなお美しい建物も珍しくない中(日本では珍しいか・・・)、もう少しなんとかならんのかと残念無念。
丹下健三さん設計というブランドがなければ今すぐ解体の憂き目に遭ってもおかしくないのでは?
そもそもなぜ白に塗る?
白い建物はしっかりメンテナンスしないとあっという間に朽ち果てて無様な姿を晒します。
本建物の外観から嫌でも想起するのがル・コルビュジエさんのロンシャンの礼拝堂(建築徘徊06)。
丹下先生が意識?オマージュ?真似っこ?したであろうことは明々白々。
だからって白く塗るところまで真似しなくても・・・
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基本情報
日南市文化センター
設計:丹下健三
竣工:1962年
場所:宮崎県日南市
訪問:2025年8月
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