あれは10年前。
マンハッタンに着いた私の興奮ぶりは異様でした。
だって建築好きなんだもん。
名建築を訪ねて走り回ります。
20世紀三大巨匠の一人に数えられる御大フランク・ロイド・ライトさん設計のグッゲンハイム美術館。
親日家のライトさんのことですから、もしやあの建物への憧憬の産物かもしれません。
そんなことを妄想しながら突撃!
訪問記
セントラルパークはすぐ目の前。
5thアベニューに面する好立地です。
1959年の完成から半世紀以上経っても鮮やかな白の外観を保っています。
小まめに丁寧にメンテナンスされているのですね。
幸せな建築。
それにしてもどこかで見たことあるような・・・
大型物流倉庫の螺旋スロープ。
違います! 失礼な。こっちが先や。
福島県の会津さざえ堂。
はい正解! 1796年建立と160年以上先輩です。
浮世絵コレクターでもある親日家のライトさん。
何度も来日しては長期滞在していたので、会津若松市を訪れる機会もあったやもしれません。
もしやパクッたオマージュしたか!?
な~んて妄想するのも楽しい。
中に入ります。
外周をグルグル螺旋状のスロープが取り囲み、真ん中は広大な吹き抜けアトリウム。
見上げればスリガラスの天窓。
外光が射し込んで明るく開放的な空間です。
鑑賞スタイルは最初にエレベーターで最上階に上がり、スロープを下りながら外周壁に掲げられた美術を愛でるという形になっております。
それにしてもどこかで聞いたことあるような・・・
東京・上野の国立西洋美術館。
驚いたことに竣工は同じく1959年。同級生かよ。
既報通り、グッゲンハイム美術館は円形建物内でスロープを下っていく鑑賞スタイル。
片や国立西洋美術館は矩形建物内でスロープを上っていく鑑賞スタイル。
設計は20世紀三大巨匠の一人ル・コルビュジエさん。
設計中からお互いをバチバチとライバル視していたのでしょうか。
「あいつには負けん。真似したとは言わせん」
な~んて妄想するのも楽しい。
「待ちたまえ君たち、さざえ堂しか勝たん。我が建物は上りも下りもスロープぞ」な~んて名もなき作者は独り言ちているやもしれません。
本題に戻ります。
スロープから反対側を眺めると、遥か向こうには想い想いに美術を愛でる人たちの姿。
完全な一本道なのでルートに迷うことなく快適。
ただし常に床が傾き、これに合わせて絵画も傾き、体も傾いた状態での鑑賞。
どうしても斜に構えて見てしまいます。(ウソ)
オープンな作りゆえ常に行動が筒抜けという訳でもなく、壁際のお隠れスポットなんかもあって安心。
斜め上からの視線に気付きにくいのは難点ですが。
なんだかんだでそんじょそこらの美術館では味わえない稀有な体験を満喫した後は、お楽しみのミュージアムショップ。
欲しくて欲しくて堪らないけど日本まで割らずに持ち帰れるか不安で不安で散々躊躇した挙句に買ったペアグラス。
10年経った今もバリバリの現役です。
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グッゲンハイムの謎 ロビン・スティーヴンス 著, シヴォーン・ダウド 原著(Amazonで購入)
基本情報
グッゲンハイム美術館 (Solomon R. Guggenheim Museum)
設計:フランク・ロイド・ライト(Frank Lloyd Wright)
竣工:1959年
場所:米ニューヨーク州ニューヨーク(New York, NY, US)
訪問:2015年10月
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