建築徘徊39 岩手銀行赤レンガ館|時を超える辰野金吾の大正浪漫

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赤レンガへの郷愁を語ったのは「建築徘徊24 弘前れんが倉庫美術館|記憶を未来に継承する田根剛」のときのこと。

青森旅行のちょうど1年後、岩手県盛岡市で再び赤レンガの建物に出会います。

日本建築界のゴッドファーザー辰野金吾大先生の設計となれば素通りする訳にはいきませぬ。

かの有名な東京駅丸の内駅舎に先立つこと3年。

盛岡銀行本店として完成、2012年まで使われたのちに2016年に岩手銀行赤レンガ館の名で多目的ホールおよび展示施設としてオープンしました。

訪問記

交差点の対角にある駐車場にレンタカーを停め、まずは全景を観察。

東京駅は横に長すぎてカメラに収まりませんが、こちらはありがたいコンパクト設計。

赤レンガ白花崗岩によるコントラストが映える華やかな外観は小ぶりな建物ながら東京駅の兄貴たる風格を備えます。

側面、裏手ともに隙なし。

特に裏手の外観はなんとなくヨーロッパのお城を彷彿とさせるようなデザイン。

威風堂々とはまさにこういう建物のことを言うのでしょう。

続いて中へ。

客対応に使われたと思しき豪華石張りカウンター。

基本的にキャッシュレス派の私ですが、こんな窓口なら訪問する価値もあるってなもんです。

行員の執務エリアも全面吹き抜けの高天井から豪華シャンデリアが吊られ、とても開放的な作り。

機能一辺倒の現代のオフィスとは一線を画します。

明治末期から昭和初期にかけてはもしかして日本が最も精神的に豊かな時代だったのかもしれません。

いわゆる大正浪漫(ロマン)ってやつですね。

シンプルながら美しい装飾が施された青森ヒバの階段を上がり回廊から1階を見下ろします。

客がこのエリアに立ち入ることができたのかどうかは分かりませんが、銀行員を見下す見下ろすことができたならさぞ気分爽快だったことでしょう。

カウンターと同じ石材大理石でしょうか。
暖炉や通路の壁などにも効果的に使われ、建物内部に統一感をもたらします。


シンプルな丸い照明は暖かい色味で穏やかな雰囲気を演出。

いやぁ、必要に迫られたときにイヤイヤ訪れる職場近くの某銀行とは天と地ほどの差があります。

胡散臭い者を見る目つきで「あんさん、何の用でっか?」と言いたげに入口に立ちはだかるオバサン。

私ったらオレオレ詐欺に引っかかって大金を振り込むカワイソウな老人に見えますでしょうか・・・

あ、逆か!

大金をせしめてノコノコ引き出しに来た悪徳業者の手先に見えるのね。

納得。なんでやねん!

恐る恐る用件を伝えると、マイナンバーカードとキャッシュカードの提示を求められて身分照会。

無事に本人確認が取れたら今度は番号札を渡されて「お預け。待て!」の指令。

大混雑の行内はイスも満席、立ちんぼのまま待つこと数十分。

やっと順番が回ってきたと思ったらほんの数分で用件終了。

自分たちはさんざん不祥事を連発するクセに市井の小市民には尊大な態度ですか、そうですか。

そのうち天罰が下るよ?

あれれ古き良き時代の素敵な銀行を見学していたはずが、いつの間にやら現代の不快な銀行話に。

気分転換の清涼剤代わりの美しい写真で心を落ち着かせましょう。

やはり赤レンガは無条件に郷愁を駆り立てます。

明治か大正の時代に生まれたかったなんて思う一方、映画『ミッドナイト・イン・パリ』の教訓?も思い出されます。

み~んな思うんですよね「昔はよかった」って。

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基本情報

岩手銀行赤レンガ館
設計:辰野金吾+葛西萬司
竣工:1911年
場所:岩手県盛岡市
訪問:2021年7月


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