木造建築が大流行りです。
といっても神社・仏閣の話ではありません。
近頃ブームのカーボンなんちゃらとかSDGsとかの影響ですかね。
しかしちょっと待った~!
時代に先駆けること30年。
木で近代建築を作ろうなんざ誰も考えもしなかった冬の時代になんと木造ドーム球場ができちゃいました。
その名は大舘樹海ドーム。
これは見に行く価値がありそう。
訪問記
という訳で、は~るばるぅ来たぜ函館大舘ぇ。
ここは秋田県大館市。
自然豊かな緑の中に真っ白い膜屋根を被ったドーム球場が忽然と姿を現します。
懐かしい!
子どもの頃によくイジッて遊んだわ、ダンゴムシ。
触るとクルクルッと丸まって身を守る小っちゃいアイツ。
え!知らない?
まったく最近の若いモンは・・・
ダイオウグソクムシなら知ってるでしょ!?
そういえば大舘樹海ドームというのは昔の名前で出ています、いつの間にやらニプロ ハチ公ドームに変わったようです。
時代はダンゴからダイオウグソクへ、樹海からハチ公へ。
いつものように周囲をグルッと見て回ります。
私たちポンコツ夫婦が行くところ、たいてい天気はドン曇りか雨。
この日もご多分に漏れずヒドい天気ですが、そんな中でも白い膜屋根が周囲の緑や人工池の水面に映えて美しい。
この膜材、正式にはPoly-Tetra-Fluoro-Ethylene (PTFE)、一般にはテフロンの名で知られます。
(テフロンはデュポン社の登録商標です。)
どうやら完成以来一度も膜の張り替えは行われていないようです。
それでもこの白さを保つとは、テフロンの耐久性の高さにアッと驚く為五郎。
そんなせっかくの美しい外観なのに(誰や、さっきダンゴムシとか言ってたヤツは?)、雑に貼られた注意書きが残念。
見たところ水深10cmくらいかな。
ここで溺れる子どもがいるならぜひ会ってみたいものです。
気を取り直して中へ。
秋田杉を大々的に使った2層構造の大屋根が壮観です。
さずがに純木造という訳にはいかず、接合部や補強材の鉄、屋根全体を支えるコンクリート、と近代建築を代表する材料が要所要所に使われています。
いわゆるハイブリッド構造、分かりやすく言うならサイボーグ。
有機物(木・テフロン、生身の体)と無機物(鉄・コンクリート、人工器官)のいいとこ取りです。
すっかり感銘を受けて興奮した永遠のガキんちょ、マウンドに上がってピッチャーの真似ごと。
疼く左腕に持つのはボールじゃなくて折り畳み傘ですが。
あ、1つ残念なことが。
膜屋根から盛大に雨漏りしてました。
維持修繕の予算が厳しいんでしょうか。
ドーム球場で傘をさして試合観戦とかシャレにならないので何とかしてくださ~い。
設計は東の横綱伊東豊雄さん。
別記事「しまなみ海道レンタサイクル100km旅⑤ 来た道をクルマで逆走」でご紹介済みですが、建築徘徊には満を持して初登場。
ところで西の横綱は誰やって?
てにをは日記の常連さんですよ。
さすがの伊東先生もキャリア初に近いであろう大規模力ずく建築。
「ドームの竹中」を自認するゼネコン竹中工務店のエンジニアリング力に助けを借りたようです。
長い年月を経ても変わらぬ美しさを保つ現役バリバリのドーム球場を造り上げた伊東さんと竹中さんのチームに最大級の賛辞を贈らせて頂きます。
さながら生まれ持った美貌と最先端の美容技術が融合した美魔女ってとこかな。
(ダンゴムシとかダイオウグソクムシの話はなかったことにしてください。)
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基本情報
大舘樹海ドーム(ニプロ ハチ公ドーム)
設計:伊東豊雄+竹中工務店
竣工:1997年
場所:秋田県大館市
訪問:2022年8月
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