2020年夏。
青森旅行の目的の1つ、現代建築と現代アートが一体となった展示が評判の十和田市現代美術館を訪問。
弘前市出身の奈良美智さんをはじめとする様々な作家の作品が、それぞれ専用に設計された展示棟と一体になっているらしいのです。
どんなことになってんだか楽しみ。
訪問記
少し離れた場所にある駐車場にレンタカーを停め、徒歩で美術館へ。
交差点に面して大きなガラスの白い箱が見えてきます。
普通?ならば敷地の最も便利なこの場所にエントランスを設けるところですが、なんとこれはカフェ。
入口はどこじゃらほいと少し戸惑います。
建築家西沢立衛さん設計の建物は正面性とか軸線と無縁の掴みどころのない外形をしたものが多い印象ですが、ここにもそんな特徴が感じられます。
入館して改めて感じるのは「おもしろい作りの建築やなぁ」ということ。
1つの作品につき1つの展示棟があてがわれ、確かに建築とアートが一体となっています。
これらの展示棟の間をガラスの回廊が繋ぐという構成。
例えばロン・ミュエク(Ron Mueck)の作品「スタンディング・ウーマン」は真っ白な四角い箱型の展示室にデーンと仁王立ちして私たちを見下ろしています。
他にはな~んにもなし。
怖いっす。
泣き出す子どもがいてもおかしくない。
展示棟の外にもクネクネマンやマーモットくんが待ち構えていて楽しませてくれます。
展示棟の外壁は白く塗装したガルバリウム鋼板を使っているようでベコベコ波打って安普請ですが、そこは奈良美智さんの「夜露死苦ガール2012」が文句は言わせねえゼとガンを飛ばしています。
美術館の周りや道路を隔てた向かい側はアート広場として開放されており、草間彌生さんの犬?をはじめ馬にユーレイにと賑やかなこと!
建築を見に来たはずの私、いつの間にやらドップリと現代アートの楽しさにハマっておりました。
これこそ西沢立衛さんの狙いなのでしょうか。
ここでは「建築だ!」「アートだ!」と分け隔てて見たり考えたりが無意味に感じられます。
両者が混然一体となって訪問者を魅了する。
隈研吾さんの「負ける建築・消える建築」とは異なる形の「影の薄い建築」を目指したのでしょうか。
まさかユーレイみたいに消え失せることはないと思いますが。
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基本情報
十和田市現代美術館
設計:西沢立衛
竣工:2008年
場所:青森県十和田市
訪問:2020年7月
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