北斎って誰や。
葛飾北斎、言わずと知れた江戸時代後期の浮世絵師ですね。
当時にしては長生きで、88歳で亡くなるまでに何度も名を変え、画号を変え、転居を繰り返した変人として知られます。
なんでも生涯で90回以上も引越ししたらしいですが、そのほとんどは東京都墨田区内だったようで、この地に美術館が建設されました。
訪問記
両国駅から10分ほど、両国国技館や巨匠菊竹清訓さん設計のホワイトベースならぬ江戸東京博物館を横目に見ながら、酷暑の東京下町をトボトボと歩きます。
すると突如現れるのが、太陽の光を浴びてギラギラ銀色に輝くまるで変形ロボのような物体。
ホワイトベースが近所に停泊しているからといって、ロボットアニメへのオマージュなどと安易な発想ではないですよね?
不安がよぎります。
すぐ横の公園で子どもたちが元気に走り回って遊んでいますが、怖くないのでしょうか。
周りをぐるりと歩いて外観を眺めます。
敷地が狭く建物が密集しているのでドアップの写真が多くなってしまいました。
表面は磨き処理をした?アルミパネルでしょうか、とてもメカメカしい感じがします。
快晴の空の青が映り込んでとてもきれいでカッコよい。
外観には垂直の線がほとんど見当たらず、真ん中には建物を大きく切り裂くスリットが入っています。
チャイナドレスを例に出すまでもなく、スリットから垣間見える奥にはいったい何があるのか大いに覗き込みたくなります。
さっそく入ってみましょう。
なんだかワクワクします。
変形ロボの体内に潜入する、あるいは宇宙船に乗り込む感覚でしょうか。
どうやら通り抜けられるようなので、公開空地または外部通路といった方がよさそうです。
直線的なアルミパネルとガラスが斜めに交差する狭い空間が大層おもしろい。
自分はもちろんのこと、周囲の建物や公園で遊ぶ子どもたちが映り込んで刻々と景色が変わっていきます。
まるで万華鏡です。
永遠のガキんちょを自認する私、楽しくて何度も何度も行ったり来たりしてしまいました。
で、歩いていてふと思い出したのが2017年に訪問したコチラ。
アメリカ・シカゴの公園にあるパブリック・アート”Cloud Gate (The Bean)”。
コイツは対照的に直線がいっさいなくて球状をしていますが、シカゴの高層ビル群や公園の人びとがグンニャリ曲がって映り込み、刻々と変化していく様が見る者を魅了するオブジェです。
分かった!
すみだ北斎美術館、周りの建物や子どもたちを借景として取り入れる現代アートを意識したのですね。
江戸時代の前衛芸術家葛飾北斎へのオマージュか。(知らんけど)
設計者は妹島和世さん。
建築徘徊16 軽井沢千住博美術館でご紹介した西沢立衛さんと組む建築ユニットSANAAでもご活躍です。
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基本情報
すみだ北斎美術館
設計:妹島和世
竣工:2016年
場所:東京都墨田区
訪問:2020年7月
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