軽井沢千住博美術館の次はレンタサイクルで軽井沢ニューアートミュージアムに移動。
ここの庭に隈研吾さん設計のBirch Moss Chapel(風通る白樺と苔の森のチャペル)があり、毎日3回(11時/13時/15時)一般公開されます。
西沢立衛さんの境界消失建物と隈さんの「消える建築」、どちらの存在感が薄いか比較してみましょう。
訪問記
軽井沢駅からまっすぐ北に750m、歩いても10分ちょっとの便利なところにある軽井沢ニューアートミュージアム。
建築家西森陸雄さん設計の建物は白樺をイメージしたであろう円柱、周囲の樹木が映り込むシャープなガラス壁、こちらも「消える建築」を意識したかのよう。
入館すると巨大なブルドッグ?がお出迎え。
2階の有料エリアでひと通りアート作品を鑑賞しつつ教会の公開時間が来るのを待ちます。
ガラス壁の向こう、庭に僅かに見えるのは現代美術家ジャン-ミシェル・オトニエル(Jean-Michel Othoniel)さんの作品「こころの門」。
さて、学芸員さんの案内で庭に出ます。
りんご飴と月見団子でできたような門をくぐり教会に近づきます。
むむぅ、確かに教会の境界が分からない。
建物は全周をガラス壁に囲まれ、ガラス屋根を支える柱と周囲の白樺は区別が付きません。
歩道と教会の境界(しつこい)に近づきます。
前面のガラス壁はスライドさせて全面(しつこい)開放できるとのこと。
苔の合間を縫ってスライドレールが仕込まれています。
中に入ってディテールを観察。
柱は十字断面の鉄骨を白く塗装し、1/4にカットした白樺の幹を貼り付けてあります。
木材が構造的には意味を持たず仕上げあるいは飾りとして使われるのは、隈建築の大きな特徴かと思います。
晴れた日にガラス屋根越しに見上げる空は最高にきれいでしょう。
ガラスが汚れていなければね。
見学を終えて館内に戻る道すがら教会を振り返ると、確かにその存在が消失したかのように周囲の白樺林に溶け込んで見えます。
総ガラス張り、空調なし。
季節によってはかなり暑く/寒くなりそう。
長居するのは苦痛でしょうが、結婚式を挙げるための束の間の滞在であれば問題ないかな。
最後にウィトルウィウスさんの教えに沿って勝手に判定。
- 用【快適性】西沢さんの勝ち:1日中いたくなります
- 強【耐久性】西沢さんの勝ち:どちらもメンテナンスが大変そうですが、粗や劣化が目立ちにくいのはこっちかな?
- 美【透明性】隈さんの勝ち:周囲に溶け込んじゃってます
隈さんの1勝2敗、「負ける建築」の面目躍如といったところでしょうか。
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基本情報
Birch Moss Chapel
設計:隈研吾
竣工:2015年
場所:長野県北佐久郡軽井沢町(軽井沢ニューアートミュージアム内)
訪問:2024年9月
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