建築徘徊16 軽井沢千住博美術館|西沢立衛設計の境界消失建物

建築徘徊
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千住博って誰や。

代表作の「WATER FALL」が1995年にヴェネツィア・ビエンナーレで名誉賞を受賞した日本の画家です。

彼の作品だけを展示するぜいたくな美術館を訪ねて日帰りで軽井沢に行ってきました。

この美術館、写真家(!?)泣かせの建物です。

これまで「建築徘徊」でご紹介した中で最も雰囲気を写真で伝えるのが困難で、実際に現地で体感しないと分からない建物です。

訪問記

軽井沢の駅前からレンタサイクルで20分ほど。

3連休の最終日で交通量が激しい軽井沢バイパス(国道18号)に面して建っているのですが、そんな喧騒がまるで嘘のよう。

うっそうと茂る樹木に囲まれてひっそり静かに佇んでいます。
ていうか、建物が見えん。

敷地内をぐるりと歩き回りますが、平屋の建物が樹木で覆われていてほとんど外観を見ることができません。


かろうじて白い壁、シルキーなガラス、ほとんど存在感のない細柱から、設計者西沢立衛さんの建物の特徴を感じ取ることができます。

入館します。
誠に遺憾ながら館内は撮影禁止

ああ! この開放的で心安らぐ空間を写真でお見せできないのが残念無念。

館内は出入口を頂上として、敷地の形状に沿った緩やかな下り坂になっています。

はい、床がフラットではなくて傾斜しています。

一瞬、美術家荒川修作さんの「養老天命反転地」を思い出しますが、コンセプトは全然違います。

決まった鑑賞順路はなくて、坂道を下って行きながら千住博さんの絵画を自由に見て回ります。

外観からも感じられた通り、側面はほぼ白い壁ガラスのみ。

白い天井淡いグレーのコンクリートもあいまって建物の存在感内外の境界が消失しています。

ところどころに全面ガラス張りの円形をした坪庭があって、綿密に配置されたであろう樹木が日の光を浴びて生き生きとしています。

外周部にのみ配された細柱は存在感が皆無に近く、屋根の荷重(や地震力など)は絵画展示用の白い鉄骨壁が担っているようです。

おかげで非常に軽やか。
重力が感じられずフワフワと宙を漂っているような浮遊感さえ覚えます。

そして、建物の中とは思えない解放感
ここは雨が降っても濡れる心配のない緑あふれる芸術公園です。

かえすがえすも館内撮影禁止が残念。

名残惜しくてエントランス付近の外観写真を撮っていたら、自動ドアが開いて館内が写り込んでしまいました。(シラこいのぅ、ワレぇ)

お弁当とお茶を持ち込んで1日中ずっと佇んでいたくなる、それはそれは素敵な美術館。

ダメです! 飲食禁止です!

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基本情報

軽井沢千住博美術館
設計:西沢立衛
竣工:2011年
場所:長野県北佐久郡軽井沢町
訪問:2024年9月


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