所用で横浜に来たついでに横浜美術館を訪問。
設計者は日本近代建築界の頂点に君臨する帝王にして世界に名声を轟かせる人間国宝級偉人。
“建築界のノーベル賞”といわれるプリツカー賞を1987年に日本人で初受賞。
さて誰でしょう?
答えは丹下健三さん。
(タイトルでバレてますが)
2025年3月で没後20年。
そのタイミングに合わせたのかどうか知らんけど、3年以上に及ぶ改修工事を経て2025年2月にリニューアル・オープンしました。
訪問記
横浜みなとみらい地区は1980年代に再開発が始まった新しい街。
歩車分離が行き届き、猥雑さの欠片もない整然とした街並みは健全の極み。
ショッピングモールは小さなお子さんを連れた家族連れで活気に溢れます。
一流企業が入居する超高層ビル群に囲まれて建つ横浜美術館へ。
外装は壁も床も全面御影石貼りで第一印象は「金かかってんなぁ~」。
シンメトリー(左右対称)で威風堂々とした面構えに否応なく権威主義的な威圧感を覚えます。
丹下先生の代表作である東京都庁舎と似た雰囲気。
近年の美術館の趨勢である市民に開かれた軽やかさとは対極の重々しくて近寄り難いオーラをまとっています。
1989年完成とのことですので、昭和の終わりに設計・建設されて平成の始まりとともに開館。
この30~40年で時代は大きく変わったんだなぁ。
中はどうなってるんでしょう。入館。
ドドーン! 全面御影石貼り。
お、重い。重いゼ!
全面ガラス張りの天井からルーバーを通って射し込む外光が左右対称に広がる大階段を柔らかく照らすも、持って生まれた重々しさはさほど変わらず。
美術館というよりはまるで神殿のようです。
「🐎🦌と煙は高いところが好き」よろしく大階段あらば上りたくなるのが建築好きの性というもの。
しかし大階段の下でお姉さんが待ち構え、「チケット買わざる者、立ち入るべからず」と言いたげです。(言ってません。)
実はこの大階段は無料エリア。
自由に上り下りしながら所々に置かれた作品を鑑賞したり本を読んだりできます。
せっかくなんでチケット購入、有料展示エリアへ。
有料エスカレーターを上がるとすぐ横は無料大階段の頂上。
気付かずに有料展示エリアに入ろうとする人を仁王立ちの係員がヤンワリたしなめます。
有料展示エリアへは重苦しい雰囲気にそぐわないポップな ← ← に導かれて向かいます。
いくら大規模な改修工事とはいえ、持って生まれたルックス(建物構造)はそうそう変えられませんので、性格(運用方法)を修正するしかありません。
とはいえ、来訪客の動線1つ取ってもなかなか苦労しているようです。
さて、建築徘徊では多くの美術館を取り上げてきましたが、時代の趨勢なんてことを考えさせられたのは今回が初めて。
この先、時代が一周して重たい建築が再評価される時はやってくるのでしょうか。
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基本情報
横浜美術館
設計:丹下健三
竣工:1989年
場所:神奈川県横浜市
訪問:2025年4月
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