ことばは生き物、変化していくのが当たり前。
確かにそうかもしれません。
しか~し!
日本語大好きを自認する私、単なる老害と言われようとも気になるものは気になる。
違和感を拭えない、聞くとゾワッと悪寒が走る変な日本語、奇妙な日本語をあげつらい、断罪します。
スキッツォイド・マン
40年ほど前に中二病を発症して洋楽にはまり、次第にプログレッシブ・ロックを愛好するように。
成長に伴い熱は醒めていたのですが、2018年にバリ島で運命の再会を果たします。
私を待ち構えていたのはキング・クリムゾンの名盤「クリムゾン・キングの宮殿」👇
50年以上経っても変わらず衝撃的な音楽に耳を傾けつつネット記事で各曲をおさらい。
あれ? 1曲目のタイトルが違う。
『21世紀のスキッツォイド・マン』?
この曲名を見た私はどうにも違和感が拭えません。
「原題をムリムリにカタカナ語化する必要ある?『21世紀の精神異常者』のままでええやん」と。
誰や勝手に変えたのは😡
レコード会社(死語)の担当者やな!?
いやぁ悪臭がプンプン漂います。
どんな?ってポリコレ・責任回避の小役人臭。
容易に想像できる「精神異常者」のことば狩り。
日本精神科病院協会からクレームでも来たんか。
と思いきや、どうやら日本レコード協会の自主規制で1999年に曲名改悪。
20年以上も気付かなかった私は迂闊だった orz
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改悪理由の推測と断罪
そもそもスキッツォイドってなんや。
原題の英語”schizoid“をおじさん御用達のカタカナ読みしただけ。
【schizoid】発音:skítsɔɪd
形容詞:精神分裂病傾向の、分裂病質の
名 詞:精神分裂病質の人
1969年の発売当時に邦題を考えた人は聡明でした。
原題”21st Century Schizoid Man”の直訳『21世紀の精神分裂病傾向の人』ではなんとも語呂が悪い。
「せや! 精神分裂病傾向の人 ⇒ 精神異常者に言い換えればええやん」
こうして生まれた(のかもしれない)『21世紀の精神異常者』という曲名はその後30年にわたりプログレファンに愛され続けます。
しかし1999年に自主規制による突然の改悪。
難解な歌詞の日本語訳を読んでも精神異常者に対する差別は微塵も感じられません。
むしろ逆、当時泥沼化していたベトナム戦争を煽り立てる腐った政治屋たちを非難する反戦歌。
2025年現在で例えるならばウク〇イナのゼレ〇スキーみたいな奴のことですな。
どこぞの精神異常者が曲名に傷ついてレコード会社(死語)に怒鳴り込んだとでもいうのでしょうか。
百万歩譲ってそうだとしても、堂々と胸を張って1ミリも差別意識はないと主張すれば済む話やん。
それをよりによって抗議される前に自らことば狩りをするとは情けない・・・
こうした自分の首を絞める愚かで無責任な行為により言論の自由は着実に失われていくのです。
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危機に瀕する邦題たち
こうしたことば狩りは洋楽の曲名やアルバム名に限ってもまだまだ存在します。例えば・・・
アーティスト | 原題 | 旧邦題 | 現邦題 |
---|---|---|---|
ピンク・フロイド | A Momentary Lapse of Reason | 鬱 | モメンタリー・ラプス・オブ・リーズン |
ピーター・ガブリエル | Intruder | 侵入者 | イントルーダー |
ピーター・ガブリエル | Not One of Us | 異邦人 | ノット・ワン・オブ・アス |
ピーター・ガブリエル | I Don’t Remeber | 記憶喪失 | アイ・ドント・リメンバー |
エルトン・ジョン | Candle in the Wind | 風の中の火のように (孤独な歌手ノーマ・ジーン) | キャンドル・イン・ザ・ウィンド |
フランク・ザッパ | Ship Arriving Too Late to Save a Drowning Witch | フランク・ザッパの○△□ | たどり着くのが遅すぎて溺れる魔女を救えなかった船 |
鬱病の/侵入者の/異邦人の/記憶喪失の/孤独な/○△□な方々の「差別だぁ!」抗議が心配で、担当者は夜もオチオチ寝てられなかったのね。
知らんけど。
それにしても日本語にド直球訳したザッパさん以外は原題をカタカナ読みしただけ。
“Hello? Hello? Anybody home?“と担当者の頭をknock knockしたくなります。
これらの事例を参考に今後の改悪が危惧されるタイトルをいくつか挙げてみましょう。
アーティスト | 原題 | 現邦題 | 予想邦題 |
---|---|---|---|
ピンク・フロイド | The Dark Side of the Moon | 狂気 | 月の裏側 |
ピンク・フロイド | Meddle | おせっかい | 親切 |
イーグルス | Desperado | ならず者 | 無頼漢 |
ザ・ローリング・ストーンズ | Tattoo You | 刺青の男 | モンモンショッタイイオトコ |
ジェネシス | Trespass | 侵入 | オジャマシマンニャワ |
クイーン | Queen | 戦慄の王女 | 女王様 |
EL&P | Brain Salad Surgery | 恐怖の頭脳改革 | 脳塩手術:原子心母に捧ぐ |
狂気の/おせっかいな/ならず者の/入れ墨の男の/侵入する/王女の/頭脳改革された方々の「差別だぁ!」抗議が心配ですもの。
担当者は今夜も♬眠~れな~い夜♬を過ごすのね。
知らんけど。
そんなこんなで、近年の担当者は責任回避のため邦題を考えること自体を放棄したようです。
例えばフケ顔かわい子ちゃんサブリナ・カーペンターの最新アルバム全12曲を見てみましょう。
アルバムも曲も全て原題をカタカナにしただけ。
なんとも潔い、というかもはや職務放棄やろ。
まぁピンク・フロイドの”Atom Heart Mother“のような意味不明過ぎる原題が出現しても困るしね。
ド直球訳『原子心母』と名付けた当時の担当者の心中をお察しします。
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