静岡市歴史博物館|どうする家康SANAA目眩しの術~建築徘徊79

建築徘徊
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関西人の私は徳川家康さんに好感を持てません。

都を京都から江戸に移しちゃったお人。

静岡市歴史博物館ったら常設展示ほぼ全て家康さんじゃあ~りませんか

館名に偽りあり。だが、しゃあない。

入館料を払うからには彼のことも学んで帰ろう。

KEYWORDS

静岡市観光、徳川家康、駿府城、スロープ、エキスパンドメタル、ルーバー、目眩まし

訪問記

諸般の事情により夕刻5時到着。

ほんのり暮れかけた空の下、ほんのりシルバーの端正な箱がボワ~ンと浮かび上がります。

うっすらベールを被ったかのような外観に惹かれて近づいて観察してみると・・・

エキスパンドメタルじゃあ~りませんか

側溝や排水溝のフタに使われる金属の網アミ。

道端なんかでよく見かけるやつです。

どちらかというと機能一辺倒の無粋な部材ですが、こんなオサレな使い方もあるのね。

外壁から突き出して全面を覆う単なる壁飾りにも思えますが、取っ払うと巨大なコンクリートの単なる四角い箱に見えかねない。

きっと目眩まし効果を狙ってのことでしょう。

中に入って驚き。まだ工事中じゃあ~りませんか

違った。戦国時代末期の道と石垣の遺構とのこと。

家康さんの時代の道路跡を発掘現場そのまま展示。

側溝にエキスパンドメタルは敷かれてませんが。

それにしても、関西人の私はつい北淡震災記念公園を思い出して心が痛みます。

だって見せ方がそっくりなんだもん

気を取り直してスロープから有料エリアへ。

スロープは数多の美術館・博物館がこぞって採用する割とよくあるタイプの君よ

コチラなんかが有名どころですね。

展示室は撮影禁止につき、おとなしく家康さんの生涯を辿っていて新たな学びを得ました。

江戸遷都後はてっきり江戸城で生涯を終えたと思ってた俺は迂闊だった

とっとと息子さんに将軍職を譲って終の棲家となる駿府城で悠々自適の隠居生活。

さっきまで妖しくオレンジに光ってたあの城ね。

エキスパンドメタルを突き破って外にはみ出た展望ラウンジからよく見渡せます。

再び1階。

外部のエキスパンドメタルに対して、内部は天井が木製ルーバーで覆い尽くされています。

ルーバーの本来の役割は外からの目線、日光や風雨などを遮ること。

それを天井に?

あぁデッキプレートを目立たなくするためか。

デッキプレートは床のコンクリート型枠鋼板で、底面を仕上げずに見せちゃうとどうにも安普請。

しかしコチラ、有機的にうねるルーバーに目が奪われて鈍色の無粋なデコボコに意識が向かいません。

なるほど目眩まし効果を狙ったのでしょう。


設計は飛ぶ鳥を落とす勢いのSANAA

SANAEではありません。

呼んだ?

滅相もない!お体ご自愛を💖

Sejima And Nishizawa And Associates
妹島和世さんと西沢立衛さんと仲間たち。

私がSANAA建築に抱くイメージは透明性浮遊感淡色曲線自然との調和といったところ。

本建物もこれらを網羅する安心のSANAA印。

そして今回、新たな学びを得ました。

どうやら忍法目眩ましの術を体得しているようで。

徳川家お抱えの伊賀忍者のように、静岡市はお抱え建築家として今後SANAAを重用するのでしょう。

予算が合えばね。知らんけど。

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基本情報

静岡市歴史博物館
設計:SANAA妹島和世+西沢立衛
竣工:2022年
場所:静岡県静岡市
訪問:2025年11月

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