坂の上の雲ミュージアム|安藤忠雄の坂と三角と階段~建築徘徊60

建築徘徊
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の上の雲』は言わずと知れた小説家・司馬遼太郎さんの代表作。

鬼畜米欧に喰い殺されぬよう決死の覚悟で近代化を成し遂げた明治日本の躍動感と高揚感に溢れます。

残念極まりない政治屋のせいで今や衰退途上国に落ちぶれてしまった日本

呼んだ?

呼んでねえよ!(怒)

明治のあの頃が懐かしい・・・(生まれてないけど)

さて、気を取り直して話を進めます。

全国に数多ある美術館の中で、小説のタイトルが館名にまでなった例って他にあるのでしょうか?

ご存じでしたらコチラから教えてくださ~い。

訪問記

乃木やらやら忍ぶ不忍 無縁やらには興味がなくともの上の雲にはテンション爆上がり。

そんな訳で愛媛県松山市にやってきました。

みかん愛に溢れる土地柄ゆえ恋人はワイン色、もとい、チンチン電車(死語)はみかん色。

重要文化財萬翠荘に向かうから脇に逸れたところにの上の雲ミュージアムはひっそり佇みます。

せっまぁ!狭すぎる! 敷地に余裕がナッシング。

だがしかし設計は「闘う建築家安藤忠雄さん。

与条件が厳しいほど燃える闘魂に違いありません。

「名は体を表す」を地で行くかのように、入口に向かうアプローチはスロープ

いざ入雲ならぬ入館。

私の下手な写真ではどうにも伝わらないのですが、この建物の平面形状はほぼほぼ三角形。

外周部をスロープが取り囲み、吹き抜け空間に2~4階を貫く大階段が架かる大胆構成です。

スロープ四角スロープはそれぞれライトさん、コルビュジエさんが半世紀ほど前に実現済みなので、未使用の三角を採用したのでしょうか。

実は安藤さんの三角好きは公然の秘密。

例えば別記事「秋田県立美術館|△三角愛溢れる安藤忠雄の推し活△~建築徘徊31」のように、他の作品にも度々登場します。

しかし本建物のハイライトは大階段

なんでも全長18mもあるそうで、手すり壁の中に鋼棒を仕込んで締め上げることでコンクリートの本気を引き出しています。

さすが武闘派。

長大橋を渡る興奮を味わうかの如く、我々ポンコツ夫婦は大階段の踊り場でうれし恥ずかし記念写真。

さて、ここで残念なお知らせ。

コンクリートに始まりコンクリートに終わるコンクリート愛の塊のような本作、完成僅か11年にして無残なひび割れが散見されます。

スロープ横の壁なので目立つったらありゃしない。

どちらの建設会社か存じ上げませんが、安藤さんに大目玉を喰らう前に補修した方がよろしくてよ。

帰り際に建物を振り返ります。

狭い敷地の境界ギリギリまで迫っているので、外観の全体像を拝むことは叶わず。

そんな訳で、数多の安藤建築を見てきた私にとって正直ちょっと残念感が漂う本作でした。

感想を一言でまとめるならば部屋とYシャツと私ならぬ三角階段

以上おわり!

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基本情報

坂の上の雲ミュージアム
設計:安藤忠雄
竣工:2006年
場所:愛媛県松山市
訪問:2017年5月


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