巨星墜つ。
ラオウの話ではありません。
磯崎新さん。
2022年12月に91歳で亡くなられました。
2005年3月にやはり91歳で亡くなられた帝王・丹下健三さんの弟子にしてライバル。
お二人は”建築界のノーベル賞”と言われるプリツカー賞受賞歴をはじめ共通点多し。
(磯崎さん2019年、丹下さん1987年)
意外や意外、磯崎さんは建築徘徊に初登場です。
訪問記
山口県を巡る旅の途中、山口市の中心部に位置する山口情報芸術センターを訪問。
通称YCAM(Yamaguchi Center for Arts and Media)として地元の方々に愛されています。
第一印象はデカくて長い箱。倉庫かよ。
屋根の形状が特徴的。
写真に収まりきりませんが三連山になっています。
なぜなんでしょう、どうしてなんでしょう。
どこだか分からない入口を目指して彷徨います。
磯崎建築の特徴である正方形のポツ窓が居並ぶ設備機械室っぽい箱の横に地味なエントランスを発見。
入って右手が図書館、左手がスタジオその他。
図書館は天井が高くてとても開放的です。
磯崎建築では脇役イメージのガラスが外壁と天井に多用され、本が日焼けしないか心配です。大きなお世話ですね。
これまた磯崎建築には珍しい印象の中庭は木が植えられ陽光が降り注ぐ安らぎの空間。
図書館の反対側には建築🐎🦌の大好物大階段。
師匠/ライバルの横浜美術館を意識したのかも。
まあ上るよねぇ🐎🦌なんで。
ギャラリー、スタジオ、映画館などが軒?を連ねる2階の通路に建物模型を発見。
おかげでようやく建物の形状を把握できました。
もしや上から見ると「円」の日本銀行本店に対抗して、真横から見ると「山」ってこと?
これは帝王・丹下健三先生どころかゴッドファーザー・辰野金吾先生への挑戦ですな。
さて申し遅れましたが本建物、金沢21世紀美術館の次くらいにどこが正面だか分からない。
広々した公園に面する側を勝手に正面と認定しましたが、帰り際に反対の道路側に出てみます。
おっ表と同じ顔してる!
もしやジオン公国軍異形の水陸両用モビルスーツゾックがモチーフなのか!?
磯崎さんはポストモダン建築の旗手である大建築家。
合理的で機能一辺倒なモダニズム建築への反動から、装飾や過去デザインの引用など(ときに過剰な)遊び心溢れるデザインが特徴です。
師匠デザインの引用(大階段)、ゴッドファーザーへのオマージュ(円→山)、モビルスーツデザインの引用(表裏一体)。
確かに遊び心が半端ない。
これほどまでにポストモダン建築の意味が腑に落ちる実例も珍しいのではないかなぁ。
実は今まで磯崎建築のよさはよく分からなかったのですが、今回の訪問でちょっと好きになったかも💖
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基本情報
山口情報芸術センター
設計:磯崎新
竣工:2003年
場所:山口県山口市
訪問:2025年4月
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