建築徘徊48 ロビー邸|和を感じるフランク・ロイド・ライトの代表作

建築徘徊
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2017年2月、やって来ましたシカゴ

建築好きの間では死ぬまでに一度は訪れたい聖地のひとつ。

「外気を直接吸ったら喉が凍って死ぬで」と脅されてやって来た冬のシカゴは拍子抜けの暖かさ。

東京の方が寒いで。

目白押しの名建築をバスで訪ねて回るガイドツアーに参加します。

訪問記

栄えある最初の訪問先は20世紀三大巨匠の一人に数えられる御大フランク・ロイド・ライトさん初期の傑作、世界遺産にも登録されたロビー邸です。

快晴の青空の下、閑静な住宅街に巨大な水平屋根を載せた伸びやかな建物が静かに佇んでいます。

深い感慨とともに少しずつにじり寄ります。

手前の樹木と街灯が邪魔で建物がきれいに見えないのが残念ですが相手が悪い。

これが日本の街を埋め尽くす電柱と電線なら「おい、どけや」と文句の1つも言えるのですが。

もう少し近づくと、無条件に哀愁を誘う赤レンガがはっきり見えてきます。

それにしてもレンガを積み上げてできる目地の水平線がやけにクッキリ見える。

目を凝らして観察すると、よく見かけるレンガに比べて妙に細長い。

しかも横目地は白い一方で縦目地には色がついています。なるほど。

重心が低く大きな水平屋根/庇とあいまって水平線が強く意識されるデザインになっています。

このデザイン、ライトさんのデザインを圧倒的に特徴づける「プレーリースタイル」(The Prairie Style, 草原様式) と呼ばれるもの。

アメリカの広大な自然の中に建つととても伸びやかな爽やかな印象が際立ちます。

電柱と電線が埋め尽くす日本の街に持ってきたらさぞかし似合わんのやろうなぁ・・・

中に入ります。

広々と開放的な空間が広がって気持ちよい。

大々的に使われた木材がレンガに近い色をしており、統一感があって落ち着きます。

まんまる照明は20年近く後に完成した自由学園明日館でも使われていましたので、ライトさんのかなりのお気に入りなのでしょう。

それにしても木の仕上げ、照明の暖色、天井ガラリのデザインなどから、どことなく日本的な雰囲気が漂います。

実はライトさん、大の日本好きで浮世絵の熱心なコレクターでもあったそう。

ようやくライト兄弟が世界初の有人動力飛行に成功した時代。

横浜シアトル間が船で16日もかかっていた時代。

何でもネットで検索/売買できる現代人からすると、どうやって浮世絵のことを知って好きになり収集していたのか不思議です。

窓ガラスに刻まれた複雑な幾何学模様、これまた自由学園明日館でも(遥かにシンプルになって)使われていたライトさんのお家芸。

このお家、御年120歳超。

なにしろ世界遺産ですから多大な費用をかけて大事に維持管理されているのでしょうが、一方で広く一般に開放されていて自由に見学できる懐の広さ。

両親から受け継いだ実家を情け容赦なくとっとと解体してしまった私は胸が痛みます。享年43歳。

もちろん我が実家がライトさんの設計だったならちゃんと保存してます。(現実は単なる建売住宅)

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基本情報

ロビー邸 (Frederic C. Robie House)
設計:フランク・ロイド・ライト(Frank Lloyd Wright)
竣工:1906年
場所:米イリノイ州シカゴ(Chicago, IL, US)
訪問:2017年2月

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