米Apple社の本社ビルApple Parkをご存じですか?
2025年大阪・関西万博のシンボル大屋根リングの元ネタになったとの噂も聞こえるUFOチックな建物を設計したのはノーマン・フォスター卿。
”建築界のノーベル賞”といわれるプリツカー賞を1999年に受賞した英国が誇る偉大な建築家です。
そのフォスター様が設計した建物がなんと鎌倉にひっそり存在しているとの噂を聞きつけました。
ホンマかいな。半信半疑で行ってきました。
訪問記
小町通りから鶴岡八幡宮にかけて観光客で大賑わいの東口とは反対側、鎌倉駅西口に出てひっそり静かな古都の住宅街を歩くこと10分。
ハイテク満載の未来的でド派手な建物を多く手掛けるスーパースター建築家が手掛けたとはとても思えぬ地味~な建物が出現。
壁しかないけど。
これ本当にフォスター様の設計?
半信半疑どころか疑い95%くらいで入館します。
館内に説明パネルがありました。
どうやら本当のようです。
個人住宅(!)として2004年に完成。
その後さまざまな経緯を経て鎌倉市の所有となり、2017年から文化施設として一般に開放されているとのこと。
天下のフォスター様に個人住宅を設計してもらったお方って一体誰や・・・
それこそ日本大好き、禅大好きなApple創業者スティーブ・ジョブズの別荘とかだったのでしょうか?
妄想が炸裂します。
どこのどなたにせよとっとと手放してくれたおかげで、滅多に個人住宅の設計なんぞ引き受けそうにもないフォスター様の実作を400円でガン見する機会に恵まれました。
展示そっちのけ(おいおい)で室内をウロウロします。
これ本当に住宅として使われていたのでしょうか?
当然ながら文化施設へのリニューアルに際して設計変更などもあったでしょうが、それにしても生活感の欠片もない。
壁の人造大理石には光ファイバーが埋め込まれていて、ところどころ怪しげな光を放っています。
その他どれもこれも高級そうな、いや高級に決まっている石とタイルに囲まれて夏は涼しそう。
天井なんぞ初めから「オーナーはここに長く住む気ないであろうぞ」との深い洞察のもとで設計されたとしか思えない異様な高さ。
巨大な掃き出し窓(笑)の向こうに見える裏庭はド迫力の断崖絶壁。
なんじゃこの敷地。外に出てみます。
写真では分かりにくいのですが、建物の裏手には鬱蒼とした木々の茂る崖がそそり立っています。
源義経に「鵯越の逆落とし」を喰らって壊滅的な打撃を受けた平家落ち武者の末裔が恨みを晴らすために潜んでいそうな雰囲気が漂います。
さて、オーナーがこの住宅を手放した理由を勝手に推測。
- 毎晩出没する平家落ち武者の怨霊の恐怖に耐えかねた
- 高天井に石タイルで空調効かず冬の寒さに耐えかねた
- 鎌倉駅から徒歩10分の駅遠物件との揶揄に耐えかねた
元オーナーさん、もしこの記事をご覧になりましたら正解を教えてくださ~い。
あ、単なる庶民のやっかみなので真に受けて怒らないでくださいね。
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基本情報
鎌倉歴史文化交流館
設計:ノーマン・フォスター(Norman Foster)
竣工:2004年
場所:神奈川県鎌倉市
訪問:2019年3月
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