三十余年ぶりに一軒家に暮らすことに決めた私。
入念な調査の結果、騎士住宅(またの名を住む魔法瓶)とすることに。
そんな家を作ってくれそうな信頼できる工務店も見つかりました。
次にすべきは人生の終着点となる土地の選定。
さて、私はどんなところに骨を埋めることになるのでしょうか。
認知症、家庭裁判所、建築基準法、接道義務、資産価値
訳アリ物件たる所以
2024年6月下旬
日課と化した不動産ポータルサイトと地元不動産業者ウェブサイトの巡回。
ある日、私の掲げる条件に適合する土地が新たに掲載されているのを見つけます。
- 海側(砂浜まで徒歩20分)
- 34坪(112㎡)
- 駅徒歩15分
- 予算内(坪単価は相場の12%安)
待てよ? ここで私の脳内アラームが鳴動します。
前々回の記事にてにをはさんは書きました。

相場を外れて大幅に安い土地はほぼ確実に「訳アリ物件」だと思われます
さっそく地元不動産業者の中で最も親身に相談に乗ってくださるF社の営業Oさんにメール。
出るわ出るわ、ネガティブ事項のオンパレード。
- 売主に意思決定能力なし
- 家庭裁判所の許可が必要
- 道路が建築基準法非適合
- クルマ転回広場設置義務
- 上記のため低い資産価値
順に解説しましょう。
売主に意思決定能力なし
この土地の所有者である売主が病気で倒れて入院、認知症となっているとのこと。
♬恋人がサンタクロース♬ではありません。
家族が成年後見人として代わりに全て対応するので、実質的には何ら不具合なし。
私の心情だけの問題ですが、事故物件じゃあるまいし何も気にしません。
ということで 1. 問題なし
家庭裁判所の許可が必要
1. に起因する話です。
売主の利害に関することは全ていちいち家庭裁判所の許可を得なければなりません。
必ずしも成年後見人が本人の利益を守るかどうか分からないから・・・ってことらしい。
これが買主にどんな影響を及ぼすかというと、家庭裁判所に名前、職業など洗いざらい報告して審査を受ける必要があります。
マヂか、不安しかない😱 な~んてね。
ヤサグレたとはいえ私、勤続30年超の現役会社員で前科も税金滞納も何もない善良な一般市民。
裁判所に何をどう探られようとホコリ1つ出てきませんぜ、ダンナ。
その点、国賊会議員のセンセイ方よりも遥かにまっとうな人生を歩んでおります。
てな訳で 2. 問題なし
道路が建築基準法非適合
敷地が接する前面道路の幅がとても狭いのです。
建築基準法によると、建物を建てようとする土地は道路に長さ2m以上接している必要があります。
ところが幅4m未満の道路は建築基準法に定める道路と認められません。
そんなこと言ったって、日本全国至るところに戦前からの古い町が残っていて狭い道路だらけやん。
御意。そこでちゃんと救済措置があります。
幅を4m以上に広げた上で建築審査会なるところの許可を得られれば、合法道路とみなしてくれます。
幅を広げる?
はいはい、敷地のうち前面道路に面する帯状の部分を市に供出しなければなりません。
でも大丈夫。
敷地面積34坪はちゃんとお上に献上する部分の面積を除いたもの。
建築審査会が許可を出すかどうかが問題ですが、ダメならば契約を白紙に戻す特約条項を売買契約書に盛り込んでもらいます。
ところで建築審査会って何? 正体不明で怖い。
ショッカーのような悪の組織とかゼーレみたいな秘密組織の匂いが漂います。
そんな具合でまあ 3. 問題なし
クルマ転回広場設置義務
敷地が接する前面道路の幅がとても狭いのです。
4mに拡福したところで普通車がギリギリすれ違えるかどうかといったところですが、さらなる問題が。
この道路、どちらに進んでも先っぽが行き止まり。
厳密にはケモノ道みたいな極狭の未舗装道がありますが、クルマは通り抜けることができません。
そこで配送車や迷子のクルマがバックで戻らなくて済むように、敷地の一部を供出して転回広場を作れや、ってのが市のお達しなのです。
この道路に面した敷地なら転回広場はどこに作ってもよさそうなものですが、タイミングですねぇ。
お上がこのアイデアを思いついてから最初に売りに出されたのが本敷地ということなのでしょう。
でも大丈夫。
敷地面積34坪はちゃんとお上に献上する部分の面積を除いたもの。
ただし、この部分の所有者は買主となります。
私有地ですから何に使おうと構わないはずですが、用途はクルマの転回広場に限定されます。
それどころか固定資産税まで払わされるかも。
【注】今後の市との協議しだい
ホントお上って横暴ですな。
「頭が高いっ! 控えおろうっ!」と言われて小突かれる気分ですわ。
納得いかんけど 4. しゃあない
低い資産価値
これは価値観とか考え方しだいです。
「正直不動産」を地で行くF社の営業Oさんは上記1.~4.の事情に鑑みて「価格しだいですが、お勧めしません」と断言。
実は各判定【1. 問題なし 2. 問題なし 3. 問題なし 4. しゃあない】は約3週間後の7月中旬に下した結論。
6月下旬の時点ではOさんの見解に素直に従ってアッサリ却下していました。
その後一体何があったのか!?は次章に譲るとして・・・このときの結論は
検討やめぃ、撤退!
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土地は価値観次第
2024年7月中旬
訳アリ物件の購入検討を放棄して3週間、依然よい土地は見つかりません。
不動産業者4社の営業さんに「なんかいいのないっすか~?」の催促メールを送ると、2社から立て続けに物件紹介あり。
なんと2人同時にこの訳アリ物件を勧めてきました。
Oさんが「お勧めしません」と断言した物件の情報を自信ありげに送ってくるとは・・・
売れりゃなんでもいいと思っているのか、はたまた、彼らの目にはお勧め物件と映っているのか(だったらなんで早く教えてくれなかったの?)
人間不信に陥る前に「案ずるより産むが易し」、正直不動産Oさんの真意を問うためお店に突撃!
売主側の不動産業者S社のYさんも同席、1.~4.について1つ1つ丁寧に説明してくださいます。
ほんの少しキレ気味だった私、彼らの真摯な態度と説明にしだいに落ち着きを取り戻します。
ポイントは時間と心の負担。
本物件、家庭裁判所と建築審査会というカタブツが絡むので、どうしても1つ1つ課題をクリアしていくのに時間がかかります。
さらに時間をかければ解決するという保証もなく、「NO!」の判断が下る恐れも否定できません。
買主はヤキモキやきもき心の負担大。
F社のOさんホントよい人だし、私のことをよく理解しています。
確かに。私、ものすごくせっかちさんです。
しかもなにごとも用意周到に進め、全て計画通りに進まないとイラッとくる面倒くさいタイプ。
時間がかかり必ずしも計画通りコトが進まない恐れのある本物件、そりゃお勧めできませんわね。
そんなワガママな私もじっくり話を聞いて納得。
その場で【1. 問題なし 2. 問題なし 3. 問題なし 4. しゃあない】の判断を下します。
残るは資産価値。つまりは値引き交渉です。
希望購入価格を売主さんに伝えてもらうことにしてこの日は帰宅。
数日後、最終的に坪単価は相場の20%安に落ち着きました。この結果めでたく
ディール! ファイナルアンサー!
それではみなさん、ご機嫌よう。
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